2015年5月20日水曜日

松本ご案内、いたします。 1 ―情景図鑑 Gallery自遊石にて―


今日も松本は、真夏日。

あっという間に、のどが渇きます。
家から、からっぽのまま持ってきた水筒に湧水を汲んで、さて出かけましょうか。


今日ご案内するのは、Gallery自遊石さん。


松本の駅前大通り(正式名称は、あがたの森通り。名前の通り、あがたの森公園まで一直線に行けます。)を、駅とあがたの森のちょうど真ん中あたりまで来ると、市民芸術館西という交差点があります。

その交差点を北に折れて、大橋通りを半分ほど歩くと、Gallery自遊石さんに着きます。

墓石や、標識のようなものやら、石の板に文章が彫ってあるもの等々が、ガラス張りの一階にぎっしり詰まっているのが見えます。

この石屋さん(伊藤石材店)の二階が、自遊石さんです。


市街地にあるうえに、こんなに暑い真夏日にひんやりと涼しいのは、石たちのせいなのか、とか思ったりしつつ、階段を上がります。

階段の脇にも、石の作品がぽつぽつ。

開け放された扉をこえると、くすまない彩りに染められた風呂敷たちが気持ち良さそうに居ました。

風呂敷の展示方法というと、畳んで置いておくぐらいしか思いつかなかったのですが、平面ではなく立体として展示されていて、なるほどと思いました。

使うときには、考えもせずに立体に出来る風呂敷ですが、いざ見せようと思うとなかなか難しそう。

写真を撮っていいよ~、とオーナーの伊藤さんに言っていただけましたが、敢えてなしで行きましょう。
その方が、この風呂敷の面白さが実際に見たときに分かるだろうから。

もともと仕掛けのある図案が、展示方法で更にそうきたか!とくすっと笑いつつ、納得してしまいます。


そして、二つの区画に分けられた奥の区画に、モノクロの写真が展示してありました。

静かに、密やかに、でも瑞々しく。
そんな息遣いを感じる写真たち。

艶やかな色遣いを見た後だから、はっとさせられる白と黒の世界。

染物と写真の違いによるコントラスト。

最初からモノクロで撮るのか、カラーで撮ってモノクロに変換させるのかでも違いが出ること。

装丁の額の色や質感での、印象の違い。

キャプションの紙に添える言葉だけでなく、その紙の質感やちょっとした細部に込めるもの。

例え、同じ被写体を撮ったとしても、どうしてこうも印象が違うのか。

撮るときの感情まで、映り込む写真だからこそ、その人となりも出るのだろうか。

彼女の展示の中で、一番ハッとさせられる展示でした。


オーナーの伊藤さんに、将来やりたいこととこの松本ご案内のことも、ぽつりぽつりと聞いていただきました。

コア過ぎても、表面的過ぎても面白くないこと。
だからといって、中庸に保つというわけでもないこと。

今現在をしっかり見つめれば、半歩先が考えられること。

観光ではなく、このまちの暮らしそのものを紹介したいということ。

見方の切り口は、たった一つではないこと。

必要な情報と、ひとによっては邪魔なだけの情報もあること。

小さな、でも、ものすごく新鮮に感じられるビューポイントがあること。

自分で体験しなければ、分からないこと。


これからの課題と、それを楽しいかもとさえ思える元気をいただきました。


帰りがけ、普段から風の強い松本らしい風が吹いて、置いてあっただけのキャプションの紙がひらひらと床に落ちて、桃色のメリーゴーランドが、くるくると回りながら見送ってくれました。




情景図鑑

2015年5月16日(土)~23日(土)
10時~17時
会期中無休

Gallery自遊石
〒390-0811 松本市中央3-7-20
電話 0263-32-5265
http:// www.iyuseki.com














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